奈良県東大寺大仏を拝観しました。西暦743年聖武天皇が仏教を興隆し人々の救済を願い造立が始まり752年に開眼供養をして完成をしました。修学旅行、30代後半に訪れ人生3回目のご対面。歴史観とは、人生の経験によって見え方や捉え方が違ってくるとも感じた時間でした。正式名称は、盧舎那仏(るしゃなぶつ)。造立(ぞうりゅう)に至った聖武天皇の想いの背景として、皇族や貴族同士の争いや飢饉、疫病を治めるために仏教を学び信仰し、その想いは大仏造立の詔(みことのり)に記されています。
「天平15年(743年)10月15日をもって、仏教を興隆し生きとし生けるものの救済を願って、金銅の廬舎那仏像一体を造立奉る(たてまつる)。(中略)世の中の富をもつものは私であり、世の中の勢いをもつのも私である。この冨と勢いをもって、尊い仏像を造立するのである。」

この強い想いは仏教の思想を取り入れながら国家の安寧と国民の幸福を祈り、自らの想いに賛同を得る動きとして造立に国民の力を結集させて助け合って完成をさせました。廬舎那仏とは世界を照らす光、そして左手で宇宙の智慧、右手には慈悲をあらわし人々が思いやりの心でつながることを願ったそうです。造立に多くの人がその想いと鎮護(ちんご)国家(こっか)を信じて携わったことが1280年の間に存続させる業を伝承、継承して出来た日本が誇る世界遺産です。だから目に見えるもの、見えないものが力となって何かが伝わるのだとも感じました。奈良の大仏だけでなく日本には長い歴史と背景のなかで当時の人びとの想いが込められ、実存している遺産がたくさんあります。私たちは日々目に見えるものに向き合うことが常ですが、時に目に見えないものに気持ちを寄せて感じてみることも大事だと思いました。温故知新。故(ふる)きを温ねて新しきを知る。

蛯谷康一